あー、今回は映画の技術のオタク話です。
まま映画は機械の芸ではあるので…。
長文書いちゃったんで、しんどかったら読み飛ばして。
いま編集中の「バニーカクタスは喋らない」でシネスコサイズのシーンを作りました。
画面の横縦比が2.35:1の画面です。
今の地デジは16:9(映画風に言うと1.78:1)。
アナログ放送は4:3(1.33:1)。
今の映画館で流れているのは1.8:1のアメリカンビスタビジョン。(ちなみにヨーロッパビスタ は1.6:1)
そして昔からの2.30~2.66:1のシネマスコープ(縮めてシネスコ)。
今は映画もフィルムが廃れて電子的に撮ってます。
10年ほど前ビデオなのにフィルムと同じ24コマで撮れるカメラが安く出て、映画もそれで撮ることが多くなり、
ハイビジョンが出て解像度も映画館の35mmフィルムと遜色なくなり、
さらにピントのボケ方も最初はDOFアダプタ、今はデジタル一眼の大きな映像センサ使うことで映画と同じように人物を浮かび上がらせる事が出来るようになり。
で、最近は デジタルを駆使して発色やコントラストを調整して物語の雰囲気を追求するのが流行ってます。
10年前から比べるとだんだん映画っぽい雰囲気のある画が作れるようになりました。
10年前に取ってたデジタルビデオは映画にしようと悪戦苦闘しつつどうしてもビデオな画でした。まだ電子式60フィールド飛び越し走査って元々テレビ放送用な規格な動画なもので限界が。頑張って頑張っても下手したら放送部のビデオ、上手くいってテレビのホームドラマみたいな画になりがち…などと悩む日々。フィルムから移って来た私にはストレス溜まる状況。
4年前には24コマ撮れるビデオカメラ借りてきて、さらに上下に黒帯を入れて16:9にして、なんて映画っぽいって感動しつつ撮影してました。
3年前に撮影した映画はそのカメラにDOFアダプターと写真用レンズ付けて人物以外をボケさせて、わああスゲー、映画だぁ。この辺からとんでもない世界になりそうな予感が。
去年はEOS 7D ってデジタル一眼レフを購入して24コマでハイビジョン撮影。いやもうなんか映画館で観ていた画。現場知らずに目の利かない私なら35mmフィルム撮影と間違えても不思議はない。
感動しつつ、でも、ちょっと気づきます。
なんか画が素直すぎる。しいて弱点を上げればなんだかTVで見てる映画っぽい。
昔もっとこう映画館で見た時に豪華絢爛な映画があったような。
ほら例えば「地獄の黙示録」のハイパーリアルな色合いとか、
銀残しとか「金田一耕助」 の不思議な黒とシャープに尖った黄色味とか、
「ストーカー」の不思議なモノクロームとか。
撮影に色フィルターを一枚一枚セロファンな厚さのを合計厚さ2センチにもなるぐらいのを付けて計算しつくした色合いを作ったりしてはったなぁ。
私も8mmフィルムで一応はマゼンダ、シアン、イエローそれぞれ濃さの違うやつのフィルタセットを用意しておいて、シーンと状況に合うセットを組んでたりしました。
あともう一つの要素、
子供の頃見た横に長い映画、シネスコの怪獣映画やミュージカル映画や「2001年宇宙の旅」やら「ブレードランナー」やらの包みこまれ感。
今も16:9のワイド画面になったけれど、劇場ではもっと横に広かった、子供心に暗闇の劇場で左右を見渡してまるで映画の中に入ってしまったような感覚をもった映画。
ああいう事が出来んものか。
答えは
編集段階でデジタル処理で色やコントラストやぼかしを変えてゆくこと。
いわゆるカラーグレーディング。これはもうある程度確立されてきた技術。んじゃ勉強すりゃいい!
それと画面サイズをシネスコに!
今回の「バニーカクタス」はその二つはやっておこうと。
人の肌色以外の色を少し暗い青緑にして人物浮き立たすとか。
やってみると作業内容はほとんど合成処理と同じ感じ。
面白い。
いろんな考え方があっていろんな手があって、
この間も20世紀の白黒写真の巨匠アンセル・アダムスの作ったゾーンシステムって写真の明るさとコントラストの管理方法がまんま使えそうな考え方におもえたり。
あとシネスコ画面はまったく手探りで始めるので、まずは1シーンのみ。パートシネスコ(^▽^)/
4:3の画面の上下を黒くマスクして16:9ワイド画面にするレターボックスって方法があります。
スタンダードの デジタルビデオ解像度720x480ピクセルでワイドを作るためによく使ってました。
んじゃ今はフルハイビジョン1920x1080ピクセルでそのままワイドスクリーン16:9。
これ同じ理屈で上下黒のマスク入れてシネスコ画面作れないかな?
計算してみると縦800ピクセルの1920x800で2.4:1 のほぼ白銀比率!
まあシネスコは映画によって2.3~2.66ぐらいまでけっこうバラついてたりするんで、今回はこれで行こう!
しかも720pのハイビジョンよりもピクセル数は多い。
実は今は1080pフルHDってちょっとオーバースペックかもとも思う状況もよくあるんでこれでOK!GO!
シーンの撮影時には、私の撮影の7Dと助っ人の山中カメラマンの操る5Dに100円均一で買った3インチ液晶保護シート貼って油性ペンで(液晶が横60mmなので2.4分の1で)縦25m間隔に二本横線を引いて簡単な画面のフレームの上下ガイドにして撮影。
編集でSnoyVegasのイベント毎のパンクロップ使ってカットごとに1920x800のマスク当てる。カットごとにするのはマスクするんで上下方向の位置調整が出来てしまうのでそれをやりやすくする為に。
色弄ってマスク当てて出来たのがこの記事の最初の挿絵写真(^▽^)/
まあいろいろ突っ込みどころ満載だけれど、ここからスタート!
今年は16:9ワイドを出来るだけ止めてシネスコかせめて4:3スタンダードに拘りたいなぁ。
と思っていたら、
世の中やっぱりそういう事を考える人も多かったらしいです。同じ問題には同じ解決方法ってことか?
とはいえ流行っているらしいのはアナモルフィックレンズ!
わああ!なんとまあロマンティック&優雅かつ職人な答えなんだ!
[raitank fountain]Vol.02 次に"来る"のはアナモルフィックレンズ!? - PRONEWS
トピック:アナモルフィックレンズは日本で流行るの?
そういえばDVX100カメラのオーナー。
確か昔DVX100用のアナモコンバーターも持ってはった。
あれば16:9ワイドを4:3スタンダードに圧縮するレンズだったから横1/1.33に圧縮するやつだ。
あれを使って16:9に圧縮すると(16x1.33):9。約 2.35:1。ちょうど一番一般的なシネスコサイズ!おおお時を越えて設計思想が繋がった!
いや、まあ、こんどまだ持ってたりするかどうか聞いてみよ。
今年は色と明るさとシネマスコープの夢を作りたいなぁ。
モノクロも楽しそうだ(^▽^)/
「バニーカクタス」2012年3月か4月頃に大阪&神戸で上映開始予定(^^)
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