2011/02/19
Re[1]
��前回からのつづき>
私たちは深く階段を下った。
中心の街の中心の部屋の床に、あの人が開いた戸口があった。
そこから伸びる階段を一段一段たどる。
街の底へ。
青葉という名前の人と共に。
暗闇の中で、梁が一本折れていた。
巨大な空間に街を支える巨大な柱と梁が何千本もある。
その中の一本が真ん中で裂け垂れ下がっている。
みしみしと微かな音がする。周りの構造がほんの少したわんでいる。
「間に合うかな」と青葉は言う。
青葉はその裂けた梁に近づき、ビルほどもある梁をひょいとつまんで、裂け目を合わせた。
驚いてぽかんと口をあけている私にこう言った。
「人には構造物に見える。でも私には情報の構造でもある」
では青葉はやはり人ではないのか。
梁は元通り繋がり、その張力でまた街を支えていた。
「間に合った」らしい。
暗い天井に果てしなく伸びる階段を見上げて、青葉は力無い声でこんな事を言う。
「背負え」
小さく軽くなってしまった青葉をおぶって階段を上る。
きっと青葉という名前は私がつけたのだろう。
この体も、言葉も、人の形も私が与えたのだろうと思う。
そういう役目だったんだ。
「向こうに帰るのか」「いつかは」
お互い同じ言葉をつぶやいた。
「ありがとう」と
青葉はそのままこの街に住んでいる。
街は事も無く、穏やかに時間が流れている。
私はいつか、今度は青葉の世界の形になって、荒野の向こうに行く事になるような気がしている。
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2 件のコメント:
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きぬさん すいません。心配かけてごめんなさい。ちょっと酔ってたもんで。うん「深夜の自動筆記」仄文させてもらいました。案外いけてると思う。青葉って名前なんかいいね!五十六光年の隊長か少年兵につけるってどうかな?って思った。港館から引くいったこと酔っぱらいのたわごとだと思って気にしないで。また連絡します。では。
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末吉さん
うんまあ、MLの事はまた明日にでもメールします。色んな人が見てて、その中には心配してる人もいると思うから。(^^)
青葉はだいぶ前から心の中にあったキャラなんで、どうもイメージや性格が固定されてて、隊長や少年兵だとちょっと私がイメージに苦しみそうです…。
この話から56億のあのエピソードってのはさすが鋭いね。あれの変奏曲かも。
��きぬさん すいません。心配かけてごめんなさい。ちょっと酔ってたもんで。うん「深夜の自動筆記」仄文させてもらいました。案外いけてると思う。青葉って名前なんかいいね!五十六光年の隊長か少年兵につけるってどうかな?って思った。港館から引くいったこと酔っぱらいのたわごとだと思って気にしないで。また連絡します。では。
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