2012/03/31

KINEMIC劇場上映 「◯◯BALLと出発と親」編


��9日はKINEMIC劇場「◯◯BALLと出発と親」編

佃光監督『TERMANARTOR -ターマネータ- 』
佐藤麻衣子監督『果てしない女』

吉田勝二監督『再生カメラ』

の上映でした。



否定と別れと再生の三本に見えました。

感動する並び。



次回のKINEMIC劇場上映は4月2日3日4日です。





えーといきなり遠い所から話を始めます。

点が3つあると人はそれを顔を見出すという事があります。

心霊写真の説明なんかでよく聞く話。

でもそれは芸術の全てでそんなことになっているわけで、絵の具や色の集まりやインクのや記号の集まりや音の振動の構成に感動したり心を見たりします。

��つの小石を後ろに投げて振り向いてその配置をスケッチすることを構図の訓練にしてた漫画家さんもいたようです。



まま以下の長文はそんな感じで3プログラム7本の映画が KINEMIC劇場に投げ出されているのを私にどう見えたかということです。


KINEMIC劇場は娯楽映画のプログラムピクチャーの枠を利用して作ろうというのがありました。
最初にジャンル映画、最後にスター映画というプログラムを想定して作ろうと。

最近はあまりなくなった同時上映ですが、例えば「男はつらいよ」のロードショー公開では前に「釣りバカ日誌」を上映してたり、劇場版ポケモンやドラえもんやプリキュアや仮面ライダーやウルトラマン映画だと前に短編の映画を付けるという方法です。



お得感てのもあるけれど、

まずは映画を見る雰囲気を作るって機能だと思います。

今も残っているのが幼児や子供の観客を想定した映画ですね。短編でワーキャー騒げてその後の長編では最初っから観る気になっているという。



もう一つ私が機能だと思ってるのは、

前半の映画で日常をブチ壊して異界に連れ出して、

最後の映画でその開放感あるけれど実は生きづらい異界から日常に連れ戻す。ままそれはキツイ日常かもしれないけれど…。

その連れ出したり連れ戻したりする依代(神様や大きな力を人界に降ろす者とか人の子とかミコとか)がそれぞれの映画の主役なのかもしれません。アンチヒーローや輝かしい希望のスターによって導かれる旅。ゆえにエースのジョーは破壊神だしギターを持った渡り鳥は良い神様なのかも…あ、脱線…



で、今回出来上がってみるとちゃんと

前半のプログラムピクチャで日常を壊して観客を異界や厳しい世界につれていき、

後半のスター映画のラストで希望を作って観客に気持ちよく日常に帰ってもらう。

そういう構造がきちんと出来てたのが楽しかったです。





「偏愛と友情の」編は異界の物の怪と人間との敵対関係を

『鬼子母神の子守唄』でガツンと怖さや無情やって、

『バニーカクタスは喋らない』で友情や異界への出入りをやって、

安心感もって映画館を出てもらう。



「死と安住」編では

『GRANDE ODALISQUE』で無情な殺しと死に突っ走り、
『HEAVEN』で殺しと死を越えて生き、

またも希望を持って日常に帰ってゆく。



で、ようやく今回の

「◯◯BALLと出発と親」編です。

やっぱりこの壊して再生する流れに見えて、

『TERMANARTOR -ターマネータ- 』で異性や世界や自分に「否!」と叫び、玉をやり取りし、
『果てしない女』で居ない女を探しに旅立ち、さらに出会うはずの女も失い。いつか目的地に運ぶはずの馬車なんか捨てて目的もなく(いやもしかすると次の女を探しにゆくのか)彷徨うために荒野に向かい。(女が大事にしまっててでも穴が開いた写真のあの木はもしや…)

そして『再生カメラ』で自らを顧みず次の世代に生を。

��なんか父グモは母グモに食われ母グモは子グモに食われるなんて事もちょっと思い出します)

性はキツイなぁと思わせてでもそこにはちゃんと大きな幸せがあるのを感じて映画館を出れる。



ちゃんと子孫を残す話になっているとも思うのです。



でね、この3プロの順に見ていくと

「偏愛と友情の」編では、いかに自然な子供から社会のなかの大人になってゆくか。

「死と安住」編では、大人になってどうやって生きてゆくか。

「◯◯BALLと出発と親」編ではいかに結婚して子を残すか。

と幼年期、青年期、壮年期と見えたりするんです。



うーんとね、あくまで、これはKINEMIC 劇場という点々から私にみえたもの。
もちろん他にもいろんな顔や物語が見えてくるでしょう。

きっと一人一人違う見え方になるでしょうし、

たぶんそこには普段見えない自分が佇んでいたりして。



それぞれの映画の企画段階から各監督が月に一度は顔をあわせてお互い交流してたんで、

色々意識無意識を共有してたのも大きいかもしれません。

プログラム設定して映画つくるの面白かったです。



たぶん企画された戸田光啓さんは組み合わせると何かの構造が生まれることを知ってはった。

企画の勝利ですね。感謝。



そしてお客様へ、

KINEMIC劇場のプログラムを通して見たら楽しいですよ。







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