2012/08/09
「ローマ法王の休日」を観る。
「ローマ法王の休日」を観る。
宗教や信仰へのきっつい皮肉の映画でした。
いかにもナンニ・モレッティらしいなぁ。
特定の宗教や特定の体制への批判は全くせず、
もっと深く人間の在り方への告発になってしまうあたりが、
とぼけてるけれど頑固に生真面目な作風なんだと思ったり。
商売としてはもっといい加減にそこそこ刺激的で最後はなあなあに心温まるコメディを作る手もあったんだろうけれど、
あくまでも頑固な正直者は、そんなの信じられないし面白くないと断ち切ったのかな。
だから安易な体制批判は全くしないし、枢機卿たちは聖人でも偽善者でもなくただそのままの普通の人間達として描く。
そのことがでっかい皮肉につながっていく。
それはナンニ・モレッティの世界の見かた。
観ながら主人公と監督の状況がダブって仕方なかった。
カンヌ映画祭の審査員長に選ばれて「ああっ俺はそんな器じゃないし場違いだ!…どうしよう…」なんて思ったのかも。
もしや審査委員長を辞退する代わりに映画作ったのかもと楽しい想像を楽しむ。
その流れで実は映画祭や映画への批判をみてしまうのは考えすぎかなぁ。
観ている間、あの法王がかわいそうで仕方ない。
案外あれ監督の自己憐憫を使ったのかもと。
映画が終わってガツンと殴られたような気になりました。
単なる告発に終わってなくて、実はその告発の中に幸福も置かれていて。
「だから人間はダメなんだ!」ではなく「もとから人間は素晴らしいじゃないか!」っていう告発だものだからまんま愛のムチだったり。
ナンニ・モレッティはやっぱりとぼけているけれど生真面目な頑固者だよなぁ。
深く切実で良質なコメディ映画でした。
でもどっちが幸せなのかは悩むよなぁ。
頼むのは内か外か…
内側から見るか外側から見るか…
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