2009/03/24

迷宮の中で




「お月さんいなかったね」


逃げた!


せっかく大阪名物ハリセン用意したのになぁ


「火星も木星も金星もいなかったね」


金星には会わない


「おやまあ。…雲はいたね」


夜の雲はなぁ、特別だから


「黒い飛行船が隠れているの?」


何十年前の幻覚ひっぱりだしてきたね。アンカーケーブルに繋ながれた飛行船


「あの怪物は覚えてる?」


白い猫型の翼と光る目の奴!覚えてるよ。美しかったなぁ。


「『スカイクロラ』の夜の雲」


ああ、あれは、あの配置で夜の雲はもう。あれだけで十分満足したよ。





「そういや今日はへんなのには出会わなかったね」


今日は閉じているもの


「まあ幻の類に会わないのは良いことだよ。人間にとっちゃ世界の外で何がおころうが知ったこっちゃないし。無意識を過大評価して意識を過小評価すると間違うからね」


…こんどのは人。


「なんか暗闘でも垣間見えた?」


まあ、そういうこったろうと思う。見えるギリギリ外で踊っているよ。


思惑がね。色んな思惑が重なっているんだろうね。


「思惑かぁ。想い、いろんな想い」


飢餓感もね。アイデンティファイされることへの飢餓。許しを求めて愛を求めて、いや、自分にその資格が、価値があるかどうかを確認したがってる。たぶんそれが一番だと思うよ。きっと愛情そのものよりもね。


「ふみい、それじゃ飢餓感は消えないじゃない」


だから私も闇の中にいたがるんでしょ。


愛情を受けとるにも能力がいる。





「…『ひなぎく』のことはいつ書く?」


今日は無理だ。明日にでも、自分との約束は守らないとね。





「大鴉が鳴いたりしなくてよかったね」


ああまあそうだね。もうないないってね。


あれは大人向けの「いないいないばぁ」ってことじゃないかなぁ


「あはは」





朝まで後どれくらい


「もう少し」


乗り越えられそうだね


「うん」






0 件のコメント: