2010/02/26
Re:昭和13年!(02/26)
昭和13年発行の「ラジオドラマの作り方」って本があります。
��今調べてみたら 林二九太著、東京新陽社刊 ってやつかな)
高校生の頃の話です。
かなり古い校舎でした。図書室奥の書庫室に作り付けの本棚は天井までびっちりある奴。上の方は梯子を使います。梯子のフックを棚の高い場所に付いてる真鍮の手すりに掛けて使う型。でも誰かが梯子使っているのを見たことはほとんど無かったです。そりゃ面倒だもの。
で、ある時なにを思ったか本棚の上の棚を漁ろうと思ったのです。けっこう古い本も好きだったので。梯子を掛け替え掛け替え登り降りしてた午後。
それで見つけたのがこの本。
一応戦後の貸出カードもついてたけれど真っ白。数十年間この棚の上で眠ってたのか。
これが面白かったです。
技術の方はフェード/スニークやバックグランド音やSEやBGMや音のマスキングまで解説してあったのかな。
脚本についてもけっこう書いてました。
タイムリー(あはは)なオーソンウエルズの「宇宙戦争」など。
その中に今でも覚えているラジオドラマのプロットがあります。
昭和初期のラジオ番組。
赤ちゃんが生まれる場面から始まります。
でも産声があがった瞬間に看護婦や医師が息をのむ。母親の悲鳴。
場面転換してその子の部屋。「なんで僕には友達が出来ないんだろう」
屋根裏部屋にあがる。今まで知らなかった鏡というものがある。開く、男の子の泣き声。そして鏡の割れる音。
学校、少年が教室に入る。一瞬静まる教室、そしてはやし立てて嘲る笑い声。
そうやってその少年が大人になってゆくまでのスケッチを重ねる。
そして、
厩舎で馬を相手に働いていた彼は、ある日、暴走馬を止めて女性を助ける。
実は彼女は盲目で((^^)あー映画版「フランケンシュタイン」や石ノ森章太郎の「ロボット刑事K」みたいなパターンだ)
ラストシーン。寝室で子供に父親が物語を聞かせている。
「そうして呪いをかけられた王子さまは王女さまのくちづけで美しい青年に生まれ変わりました」
「ねえ、お父さん。それ本当のこと?」「ああ本当にあったことだよ。おやすみ」
END
いやあもうこれは、昭和初期の英語放送なんてもう多分聞く事はないだろうと思うけれど、この話は面白いよなぁと思う。
オチは映像が無いことを逆手にとって鮮やか。上手いなぁと。
昭和の終りの秋の一夜、昭和の初めのラジオドラマで楽しまさせていただきました。
そのドラマを紹介してた本が真珠湾攻撃の3年前。ディズニーの「白雪姫」の頃。
そういう一夜をすごした数ヶ月後に映画を作ろうと8mmカメラを握りました。
母校も数年前に廃校になってます。あの図書室の蔵書はどうなったのか。
後年デビッドリンチ監督の「エレファントマン」とかもありましたね。
広告で向こうから飛び込んでくるロードショーの映画も面白いけれど、まだ知らない映画や何かが今も棚の上の方に眠っているのだろうなと思うのです。
梯子を登ってみるのも楽しい。
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2 件のコメント:
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シリアスだけどいいお話ですねぇ。
戦前の本ってのがすごいです。
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いちごさん
直には何も言ってないお話なんですよね。
ファンタジーだけど切実。
誰でもこういう気分は抱えてるよなぁと。
アンネフランクが生きていた頃ですものね。
��シリアスだけどいいお話ですねぇ。
��戦前の本ってのがすごいです。
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