2010/03/17

ムーンチャイルド、つづき




この前さわりだけご紹介するつもりで訳してみた「Moonchild」(King Crimson)。


やってみたら思いのほか楽しい作業でした。


��~2行だけのつもりが、気づけば最後にさしかかる部分までやってました。


最後の部分は難しい気がして、中途でアップ。





今日は最後まで挑戦してみよう。


ついでに前の訳も合わせていろいろ変えることになると思います。





「Moonchild」(King Crimson/Pete Sinfield)の原詩は


Moonchild - ETWikiとか


moonchild king crimson 歌詞 - Google 検索とかからどうぞ。





では



「ムーンチャイルド」






そのむすめを月の幼子という


流れの浅瀬で舞う


はかない月の幼子


柳の木陰の中で夢を紡いで





奇妙な蜘蛛の巣をもつ


 木々と語り


噴水の石段で


 眠りについて


夜の鳥の歌にそって


 銀の杖をなびかせ


頂きで


 太陽を待っている





そのむすめは月の幼子


庭で花を摘み集める


あどけない月の幼子


時の響きに漂流して





乳白色の部屋着で


 風を捕えて帆走して


日の時計に


 円を描いて石を落とし


夜の終わりの幽霊と


 かくれんぼを楽しみ


太陽の幼子からの


 微笑みを待っている







moonchild king crimson 訳詞 - Google 検索からだともっとちゃんと訳されたのが色々見つかると思います。





ピート・シンフィールド (Wikipedia)さんすごいなぁ。


ゆっくり訳してみて色んな構造に気づけました。





実は夜から明け方に向けての時間の流れがくりかえされていること。





川、噴水、波、漂流、航海と水/海のイメージの展開。





繰り返し言葉を変えて現れて、最後に唯一の他者として/月の子の動機として語られる、太陽の仕込み方。


銀の杖silver wands、乳白色のガウンと帆の印象Sailing on the wind in a milk white gown、日時計とサークルストーンcircle stones on a sun dial(たぶん暗に古代遺跡のストーンサークルのイメージかも、例えばストーンヘンジは夏至の太陽が登る位置があわせてあったり「月と太陽に基づく数多くの天文学的な配置が見られる」とよく言われたりする)、夜明けの幽霊ghosts of dawn(もしかして夜明け直前の曙光やマジックアワーの事かも、太陽の幽霊か)、太陽の子供sun child.これらは全部、太陽にまつわること。





杖(ワンド…魔法使いの杖っぽい)はきっと夜の闇で銀に何かの光が反射してきらめいているのでしょう。それを夜の鳥の歌に合わせて波打たせるのか/もしくは逆に歌を指揮しているのか。月の魔術師の印象。太陽光の反射で光ってる月。





ムーンチャイルドの眠りから始まり、眠りの中で眠り、その中で太陽を待ってたりとも取れます。


川の浅い流れから、漂流し、風でセーリングする。きっと海の奥に向かう旅。


「時の響き」と訳してみたthe echoes of the hoursを「思い出のこだま」と訳されてる方もいました。なるほどthe hoursは記憶のことかもしれません。それで漂流する。ミルク色のガウンを着てまた航海を続ける。


きっとそれはインナートラベルだろうなと。





同時に庭や噴水や日時計の人工物のある場所から鳥や幽霊と遊び、山の頂きで太陽を待つ旅でもあり。


こちらはきっと他者を求めての上への移動。





二つの移動の同時進行。どちらがどちらの夢なのか。夢と現実は同等になってしまう。月の世界で夢とうつつは同じもの。





訳してみてはじめてこういう諸々に気づきました。





少ない言葉で物語を語っている手口の一端も感じたり。


ビートってことかな。


実はそのへんは気になってた「バトルスターギャラクティカ」(バトルスター・ギャラクティカ 41話「英雄の証」 - 竜屯の拷問映画制作日記2009/05/05- 楽天ブログ)の台詞テクニックにも通じてたりします。





この詩は現在と過去を重ねて進行させている気がしてます。


もっと言ってしまえば、もしやその過去は実は人工の架空の偽物の過去なのかもしれません。


それゆえのこの詩の仄かな不安感。





あ!…子供は過去を持たない存在だ…書いてて気づきました。


そういう仕掛けでもあったのか。





アルバム<「クリムゾン・キングの宮殿」(Wikipedia)の中では次のタイトル曲「クリムゾン・キングの宮殿」(楽曲-Wikipedia)の歌詞の最初が


「月の牢獄の錆びついた鎖は太陽によって打ち砕かれる」


と続くそうで。


…月の子供は太陽に出会う。でもそれは打ち砕かれることでもあって…。


どこまで仕掛けてるんだと。





詩作ってプログラミングと似てる作業かも。


訳詞は仕様設計が終わった後のコーディング作業そっくりな気がしてます。


ちゃんと大きなバグもなく設計者が目論んだ機能が実装出来てればいいのだけれど。


(〃^∇^)









0 件のコメント: