2010/05/28

何年かに一度みる夢




夢なのか白日夢なのかいつかの想像の記憶なのか。それを睡眠中に思い出しているだけなのか。


ただ思い浮かべるといつも映像と音だけではなく、踏みしめる感触も空気の温度も微かな風も味も筋肉の疲れも蘇る。





夜。


両側に並木が、ゆるやかに右に曲がって続いている。


頭より少し高いぐらいに枝を揃えてある。


低い植え込み。


遊歩道になっている。


枝の間、暗い空にかすかに白い雲が流れている。


かさかさとかすかな葉の音。


一歩あるく。ジャリッと細かい石を踏む感触。


頬に当たる涼しい空気。


背の高い街灯が15メートルおきぐらいに交互に道の右と左にある。


遠くのふくろうの声。


少し暑かった事に気づく。


聞こえているなき声は何の虫のだろう。


ジャリッ、もう一歩、ジャリッ。


道の先は曲がっていて見えない。大きな円を描いてまたここに戻るのかもしれない。


目の高さに一本出た小枝を手で避ける。


ジャリッ。


中心の街の公園かなぁと思う。





と左から、


パシャリと水の音が聞こえる。


水面に何かが跳ねたような音。


足を止める。


ほーほーと鳥の声。


パシャリ。


耳をすます。じっと、息の音もとめる。


もう聞こえない。





ジャリッ、ジャリッと、


左の植え込みに近づく。


あんがい大きな切れ目があって、奥に続いている。


入る。





石で出来た小さなプールがある。奥行きは十数歩ぐらいか。


奥の小ぶりな街灯に照らされて、ぽつぽつと枯葉が浮かんだ水面が揺れている。


プールの底までよく見える。澄んだ水。


誰もいない。


白い石で出来たプールの縁にも水が跳ねている。


いや誰かが濡れたまま歩いたんだ。プールから上がってきて。


石を踏んで音を立てないように歩く。


何も聞こえない。


さっきまで聞こえていた鳥の声もいつのまにか止んでいる。


虫の音もない。


プールの縁の一番奥で立ち止まる。


土の地面に小さな道が茂みの向こうに続いている。


プールの灯の光もその奥には届かない。


闇に囲まれていた。





きっと今わたしは見られている。


闇の奥から何かがうかがっているのだろう。





…邪魔したのは私だよな。





私はゆっくり後ずさって光のもとに戻る。


しずかに振り向いて道に戻る。


最後にもう一度小さなプールを見た。


水面はもう静まって、反射も揺れず、まるで静止した絵のようだと思う。


死んでしまったように。





私はもう一度並木の遊歩道に戻る。


プールを背にジャリッ、ジャリッとわざと大きな音を立て、


でもゆっくりと離れる。





ポチャン!と水の音。


プールだ。


続いてパシャ、パシャと水の音。


もうしかすると向こうもわざと音を立てているのかもしれない。





また次に来るときは、もう少し正体が分かるのかなぁと思う。





遊歩道を巡っていくと月が見えてきた。










JST5月28日9時(GMT0時)の「はやぶさ」地球からの距離 7,055,550 km Hayabusa Live


地球帰還予定はJST6月13日23時頃


��大雑把に、太陽ー地球間の平均距離が 150,000,000 kmぐらい、


      太陽ー火星間の平均距離が 230,000,000 kmぐらい、


      地球ー月間の平均距離が    384,400 kmぐらい)







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