2001/11/02

映画

次の作品はカメラが私ではないです。
今まで自分の監督作品でほかの人にカメラを任せたのは一本だけです。
なぜなのか。正直に言えば、良いと思えるカメラの人があまり見当たらなかったからです。

カメラの人の技術や考え方や生理で編集も変わります。
他の監督に付いてカメラをやったことは何回かあります。
ある時、私がカメラマンやった作品の編集作業真っ最中の監督が、
私の監督作品のラッシュと編集作業中のフィルムを見たことがありました。
曰く「そうか!そういう編集するつもりの撮影なんだ!うん、実は今まで悩んでたんだ。竜屯の撮影ラッシュをどう切ればいいかわかんなかった。よしよし、こういうつもりで撮ってたんだ!」
うん、よく分かる。たまに編集で調子いいときは見えないマークが付いているみたいに、パッと見てこのフレームでカットって映像が叫んでいる気がすることもあります。
撮影の息と編集の息がちゃんと合っている時です。

次回作はカメラマンは私ではありません。
プロモ版の編集で気づいたのですが、
かなり、私の生理とは異なるカメラです。
引き画が上手い。
多分写真をちょっとかじった人なら、「今の位置から一歩前に踏み出して撮れ!」などという言葉を聞いたり読んだりしたことがあると思います。初心者向けのコツとして良く言われることですから。
今回のカメラはそれが全くない!そういうことは多分全くいらんと思っているみたいです。
かといって空間が開いているわけではない。
あのサイズの感じをどう言えば...うん、風景画の感じです。カメラが発明される以前の絵画。けしてイラストではない。
全く方向や動きの感じを多分わざと消している画。
全ての物がキチンとフレームに収まっていて、バランスを崩すための余白やはみ出している物の無い画。
重心がフレームの真ん中にある画。
うーん。どうもアップや引きを極端にしたがる私にはまねの出来ない画です。
私が撮るとどうしても、余白やはみ出しやアンバランスや一歩近づく事の誘惑には勝てない。

良い個性とは思う。
が、どう構成すれば、良い映画になるのか。
編集のタイミング-カットの長さや、組み合わせはこれまでの自分の撮影の時と同じではいけないような気がとてもしています。

今は暗中模索ど真ん中です。






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